Hardware
「6年かけてできなかったことが、
3ヶ月でできた。」
原 駿一郎
第二開発部
Background
6年間、機体が飛ぶ姿を一度も見られなかった
新卒からの6年間、有人小型機の新型機開発において、全体の取りまとめを行う部署にいました。一番の若手としてリーダーの補佐を務めながら、機体全体のコンセプト設計やお客様へのプレゼンテーションなどを担当していました。その6年間で自分が関わった機体が実際に飛ぶ姿を一度も見ることはありませんでした。開発体制が縦割りになっていたことが大きな要因です。空気力学、電気通信、エンジンなど各部署が細かく分断されていて、組織全体が指示待ちになりやすく、私は本来の開発業務以上に、部署間の調整業務に多くの時間を使っていました。また、変化を恐れるような文化もありました。世界の技術スピードに追い付くために設計をドラスティックに変更したくても、組織として大きな決断ができず、結果として現状維持という保守的な判断になりがちでした。
Decision
30歳の節目に、ハマを選んだ理由
前職の同期で一足先にハマに転職していた福地さんと再会したことがきっかけです。ちょうど自身が30歳になる節目で、担当していたプロジェクトが一段落したタイミングでもあったので、自然と外の世界へ目を向けるようになりました。別のドローン企業からもお話をいただいていましたが、ハマの方が事業の幅が広く、エンジニアとして挑戦できる領域が多そうだと感じました。「小さな機体から始めて徐々にステップアップし、ゆくゆくは重工と呼ばれるような大きな航空機メーカーになる」という会社の方向性にも強く惹かれました。大きな組織では会社のビジョンと自分の業務が結びつきにくいのですが、ハマでは、目の前で組織が進化していく過程を通して、「自分たちが未来の航空機メーカーを作っているんだ」とリアルに実感できる点が違いました。
Gap
意思決定のスピードが、根本から違う
意思決定のスピードが根本から異なります。前職では物品を一つ購入するにも膨大な書類と部署間の調整が必要でしたが、今の環境は組織がフラットで、私のすぐ上には役員の加藤さんがいるだけです。予算の範囲内であれば、ある程度自分の判断でクイックに動かすことができます。また、チームがコンパクトで縦割りがないため、全員が全体の状況を把握した上で、必要な作業を自発的に考えて進めてくれます。戸惑いというより、想像以上の泥臭さに驚きましたね(笑)。部品の選定・調達はもちろん、実証試験の荷物を現場に運ぶために自分で機材車を運転することもあります。ただ、これは「すべてを自分の責任と判断で進められる」ということの裏返しでもあります。
Role
入社3ヶ月で、スチレンボードの機体を飛ばした
入社して2〜3ヶ月で機体を飛ばしました。社内にあるスチレンボードなどを活用して機体を自作し、まずは飛行コンセプトの確認を行ってから本番の設計へつなげていきました。「縛りなしで進めれば、これだけの短期間で形にできるのか」というのが率直な感想でした。実際のテスト飛行では自動飛行のミッションが多いのですが、手動操縦からオートパイロットに切り替える瞬間が特に緊張します。機体が遠方まで飛行していくと、あとは設定通りに制御されていることを信じて見守るしかありません。その分、無事に帰還したときの安堵感は格別です。現在は大型クライアント向けのVTOL(垂直離着陸)型無人機開発のプロジェクトマネージャーを務めています。
Failure
墜落させて、学んだこと
初期の実証実験で、機体が飛行中にバランスを崩して墜落し、破損させてしまったことがあります。事前のリスク想定と準備が決定的に足りていなかったと痛感しました。その後のリベンジ試験では、外部のプロパイロットや安全管理の専門家を招き、運用プロセスを客観的に評価してもらいながら進めました。スピードを重視しつつも、専門の知見を貪欲に吸収し、確実にやりきることの重要性を、この失敗から深く学びました。対応できる業務の幅が大きく広がったことが、この1年で最も成長したと感じる部分です。「やってみれば自力で突破できる」という実績と感覚を積み重ねられたことが、一番の収穫です。
Message
大企業エンジニアへのメッセージ
もし今の職場で「自分の全力が出せていない」「持っている能力がもったいない使い方をされている」という感覚が少しでもあるなら、自分のやりたいこと、純粋に楽しいと思えることに時間を使った方がいい。私は思います。チャンスがあるなら、自ら手を伸ばせるうちに掴み取ってください。私自身、そう信じて大企業を飛び出しましたが、あの時の決断に後悔は全くありません。
Profile
原 駿一郎
大手航空機メーカーで6年間、有人機の新型機開発に従事。30歳のタイミングでハマに入社し、現在は第二開発部でVTOL型無人機開発のプロジェクトマネージャーを務める。